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「大変だよ!御剣検事!」 裁判所の控え室で突然名前を呼ばれた。 「どうかしたのかね、真宵君」 肩を上下させ、息を整えている彼女にそう尋ねた。 「成歩堂は…」 ただならぬ予感を感じて、顔色が変わる。 迫力に圧倒されつつ、彼女が口を開きかけたとき。 「あの…真宵さん…?」 後方から聞きなれた声がした。 「無事だったのか!!」 つかつかと近寄り、肩を掴む。そのまま抱きしめたい衝動を、かろうじて抑える。 「それがね……御剣検事」 真宵君がおずおずと、驚愕の事実を告げた。 「なるほどくん、記憶喪失になっちゃったの!!」
「えーと、ぼくは弁護士で…」 頭をかきながら、成歩堂は自分のバッチをまじまじと見る。 「すごいなぁ…弁護士かぁ」 感心するのはこっちの方である。記憶をなくしつつも、彼は先程の裁判で無罪を勝ち取ったというのだ。 「御剣さん?…は検事なんですよね。じゃあぼくと裁判したことあります?」 丁寧語で話しかけられさん付けで呼ばれ、少しなからず戸惑ってしまう。 「君には負け通しだったよ」 ふ、とため息をついて成歩堂を見た。彼は照れ笑いする。 (!) その顔に思わず目を奪われてしまった。 「さっき御剣さんと真宵さんが話しているとき、外にいた刑事さんが教えてくれたんです。 その時、雷に打たれたように体に衝撃が走った。 「…………クックックック」 突然笑い出した私を見た成歩堂は、ぎょっとして目を見開く。 「み、つるぎさん……?」 「……君は大変なことを忘れている」 両肩を掴み、顔を成歩堂の耳元へと寄せる。身体をこわばらせた彼に、一言こう告げた。 「君と私は………恋人同士なんだ」 「えええええええええ!!」 椅子ごとあとずさる成歩堂を、立ち上がって追いかける。肘掛に手首を押し付け、自由を奪う。 「え?え?だ、だってぼく、男ですよ!?」 「!!!!!!」 成歩堂の顔が瞬時に青ざめる。動物的に危険を察知したのか。 「すべてを私にゆだねたまえ…」 勢いよく成歩堂が腕を振り回した。 激しい音が部屋に響く。 痛みをこらえて、成歩堂を睨む。彼は後頭部を床に激しく打ちつけたようで、頭を抱えて転げまわっていた。 「なにすんだよ!御剣!!!」 涙目の彼を見て、言葉に詰まる。 怒りを前面に押し出し、彼の目が黒く輝いている。 「記憶が………?」 御剣の馬鹿、あほッ!と罵られながら、血の気がスーッっと引いていくような感覚に襲われる。 「御剣?」 呆然としている私を、成歩堂が覗き込んだ。見つめ返すと、心配そうに揺れる瞳が2つ。 (本当に可愛いな、成歩堂は……) この目は駄目だ。どうしても苛めたくなってしまう。 「君は……誰だ?」 私の一言に成歩堂は声にならない悲鳴を上げ、頭を抱え込んでしまった。 (さぁ、楽しませてもらおうではないか、成歩堂) ──怨むのなら、自分自身を怨んでくれ。
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きっと誰もが考えただろう、『2の1章にみったんがでてきたら』 記憶喪失なナルホド君…おいしいじゃないか!! (みったんの馬鹿!何で失踪してたんだよ!) イジワルみったんはナルホド君をからかうのが生きがいです。 |
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