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その日、弁護士・成歩堂龍一はすこぶる機嫌がよかった。 頭が面白いくらいよく冴え渡り、矛盾をバンバン叩きつけて、指をビシビシ突き刺して。 ・・・ その日、検事・御剣怜侍はきわめて機嫌が悪かった。 万全の準備で証人と打ち合わせをし、刑事に調査結果を聞き、完璧な証拠品を揃えて。 ・・・ 「御剣!」 まさにハツラツ、といった感じの笑顔で成歩堂が手を振る。 「お疲れ!いやー残念だったね、さっきは」 いや…この男はわかって言っているのだろう。こう見えても、なかなか鋭い奴だ。 (私を馬鹿にしているのだ……) 「まぁ、被告は無実だったってことで。真実は逆転しようもないもんな」 彼の言っていることは正論だ。私は以前の私ではない。 (この男に、裁判で負けるのはものすごい腹ただしい!) 軽い足取りでトイレの出口に向かう、成歩堂の肩を掴んだ。 「えっ…何?」 そのまま個室に連れ込み、背中を壁に押しつけ。 「んん…!」 まるで噛み付くように口付けをした。いきなりの行動に、成歩堂はかなり驚いたようだ。 「……馬鹿!何するんだよ!」 呆れて言葉も出ない、といった表情の成歩堂に再び口付けた。 「っ……馬鹿…」 口を離すと、腰が砕けたような成歩堂がしがみついてきた。肩に顔を埋め、悔しそうに呟く。 「君、口からなんか出してないか?麻薬物質みたいなものを……」 一呼吸置いて、また唇を合わせようと顔を近づけた瞬間。 「!!」 二人同時に目を合わす。 「………………やばい……」 小声で呟く成歩堂の唇に、人差し指で触れる。彼の目がふらふらと泳ぎ、私の目に戻ってきた。 「…………っ…」 条件反射で目を閉じて、それに答えた成歩堂は身をよじって私の腕を握った。 「───馬鹿ッ!!」 今度はかなり本気で突き飛ばされてしまった。顔を真っ赤にして成歩堂は怒鳴った。 「………まぁ、否定はしないが」 呟きながら、両手で彼を抱きしめた。そして背中から下に、手を滑らせる。 「み、御剣!?」 顔を寄せ耳たぶに口付ける。舌を出して舐めると、びくりと成歩堂の身体が反応した。 「ちょっと、何考えてんだよ!また誰か来たら……!」 手を差し入れ、直接素肌を撫でる。びくびくと身体を震わせる彼が愛しい。 「君が声を出さなければいい」 声を出してしまった後、成歩堂はぐっと口を閉じた。そして、泣きそうな顔で私を見返した。 「んんっ!だ、め……だ…」 声を殺すのに必死で、成歩堂は快感すべてを自分のものにすることが出来ないようだ。 「ア…ッ…んっ!…御剣、だ、だめ…」 どうしても声が漏れてしまうようだ。 「成歩堂………口を開けろ」 少しだけ除いた歯に、指を伸ばして親指だけ侵入させる。 「…ぁ……ふ、…」 顔を赤くして、成歩堂が私を睨んだ。 「冗談だ」 ふ、と笑って左手を彼の首筋に伸ばす。 身体を微かに震わせ、成歩堂が不安げな顔で私を見上げた。 「これでも咥えていればいい」 彼の赤いネクタイを口元に寄せてやった。まるで犬みたいに扱われて、彼は口を尖らせる。 「いい子だ」 額に軽く口付ける。 そして、彼の口がきちんとネクタイで封じられていることを確認すると。 「───んんんっ!…うっ…」 手加減なしの愛撫をくわえ始める。くぐもった喘ぎ声を上げながら、成歩堂は身をよじった。 「ん、ん───んっ!!」 シャツの下三つのボタンだけ外し、捲し上げて肌を露出させる。 「君の可愛い声が聞けないのが残念だな」 胸に舌を滑らせながらそう呟く。赤い跡を数個つけて、ズボンに手を入れて引き降ろす。 「──────ッ!!」 性急に事を進められて、痛みからか成歩堂が顔をしかめた。そして口に布を含めたまま、私を睨みつける。 「──んんっ!……んっ…」 彼の渇いた入り口に、私の指は思うように入らなかった。 「んッ…は…」 顔を上げると、口が緩んでネクタイが落ちそうになっていた。 「……声を出さないと約束するか?」 私の意地悪な問いかけに、彼の目が情けなく潤む。 「しっかりと咥えていろ」 愛しげに髪を撫でる。口を開放してやり、成歩堂が息をついたのと同時に。 「んんん─────ッ!!」 横を向いて目を閉じて、成歩堂は口にネクタイを含んだまま苦痛に耐えた。 「……そうだ、そのまま私にしがみついていればいい。できるな、成歩堂?」 私が身体を移動させたことで、彼の内部に新たな刺激を与えてしまったらしい。 「…いくぞ」 そう短く告げ、腰を少し落とす。そして、その後。私は激しい律動を開始した。 声にならない声を上げて、成歩堂が顔を私の肩に埋める。 「───ッあ、だ、駄目だ、……っ!…」 ただただ彼が愛しくて、欲しくて、感じさせたくて。 「み、みつるぎ……あ、あっ!!」 熱に浮かされたような瞳と目が合う。その唇に名前を呼ばれた瞬間。 「み、御剣の………バカ……」 目が合うと、震える手で額を叩かれる。 「見つかったら知らないからな…ぼくは悪くないから、ね……」 熱い息を吐きながら、潤んだ目で成歩堂は言った。 ・ 「大丈夫か」 彼は無言のまま、私を睨みつける。白い便器に腰を降ろした姿勢のまま。 「ここがトイレでよかったな。後始末も楽だ」 笑いながら、ついつい本音を言ってしまった。勢いよく繰り出された成歩堂の右の拳が腹に沈み込んだ。 「お、お二人ともお揃いで……」 動揺する成歩堂と亜内検事を残して、私はトイレの外に出た。 (馬鹿な男だ……) 下手にする言い訳など、余計に怪しまれるだけだろう? 「弁護士・成歩堂龍一もまだまだだな…」 私はそう一人呟くと、次の法廷の準備のため足早にその場を去った。
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ネークタイ…トイレ…私の趣味を詰め込んだ、お約束アイテムでのお話でした。 亜内さん…いつからいたんでしょうか。確かに個室から検事弁護士出てきたらビビるよな。 |
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