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「君にあげたいものがある」 ぼくはキスで御剣の言葉を遮った。 「…何?それはぼくとのキスより、大事なものなの?」 唇を離して、笑う。御剣はその質問に答えなかった。そして今度は、御剣からのキス。 「犬か君は」 それは余計に彼の口元を濡らす結果となり、御剣は眉をしかめる。 ………この時はまだ、奴の企みをぼくは知る由もなかった。
「起きたか」 目の前には、愛しい恋人。ぼくは身体を起こそうとしてそのまま固まってしまった。 「……これは何?御剣」 辛うじて口を開き、質問する。首を拘束する違和感。そして身体の上を這う鎖。 「犬の首輪を買ってな。やっぱり君には青い方がよかったか?」 ぶんぶんと首を振って、意地悪く笑う御剣を睨みつける。 「人が寝てるときにこんなイタズラするなんて───怒るよ?外して」 少しきつく言ったつもりなのに、御剣は全然気にしない様子で笑った。 「人にお願いするときはもう少し可愛く言ったらどうだ?」 ぐいっと強く鎖をひかれて、ぼくは上体を前のめりにさせた。御剣はぼくの背中を指でなぞる。 「これはこれで、興奮しないか?」 耳元で囁かれて、ぼくは目を閉じた。 ────ああ、まただ。 「……わかったよ、御剣」 観念したぼくの台詞を御剣は当然のことの様に受け止めた。 「この場合、私は君のご主人様になると思うが?」
御剣に唇を指で拭われる。ぼくは息を整えて、再び顔を埋めた。 「せっかくの餌なのだからな」 その上から御剣の手のひらがぼくの頭を押さえつける。片手でぼくを繋ぐ、鎖の先を握りながら。 「……クッ!」 短い言葉を吐いて、御剣はぼくの口内で果てた。ぼくはその白い液体をすべて飲み込むこととなってしまった。 「うまいか?」 本物の犬だってもっといいものを食べてるだろう。ぼくは憮然として言い返した。 「何してんだよ、鍵ちょうだいよ。これ外すからさ」 にやりと笑った御剣の膝を、遠慮なく殴らせてもらった。御剣はそれでも笑顔をやめない。 「君にごほうびをあげよう。龍一」 いきなり名前で呼ばれて、顔が赤くなる。 「何で急に下の名前で呼ぶんだよ!」 しれっとした顔で答えられて、思わずぼくは脱力する。 (なんて恐ろしい男なんだ、こいつは!!) 「よしよし、龍一」 御剣はにやにやしながらぼくの名前を呼んだ。両手で頭を何度も撫でられる。 「…ッ!!」 鎖を引っ張られ、バランスを崩す。 「仕方がない。しつけの時間だ」 逃れようとうつ伏せになった途端、上に乗られてぼくは動けなくなってしまった。 「御剣…!やめろ!…いや、だッ!」 それに怯んだ瞬間、御剣のもう一つの手はぼく自身に触れた。そして強く握り締められる。 「……あまり大きな声で鳴くな、龍一」 あまりのことに涙が出てくる。ぼくは声をこらえ、唇を噛み締めた。 「……っく、ん…っ!!」 ぼくは目をつぶってその屈辱に耐えた。やがて両腕は身体を支えられなくなる。 「んっ…あ、…や、やだっ…!」 それでも御剣はやめなかった。ぬるりとした感触に身体が跳ね上がる。 「龍一、力を抜け」 御剣の高ぶったものを後ろに押し付けられ、ぼくは首を振った。そして涙ながらに懇願する。 「こんな格好じゃ、嫌だ…御剣」 ぼくが俯くと、鎖がこすれて小さな音を立てた。でも御剣はそれすら無視した。 「……犬は鳴き声しか出さないものだが」 ぼくは歯を食いしばった。 「…うッ……ん…あ…っ!」 緩やかに御剣が動き始める。ぼくの背中に身体を密着させ、上から押しつぶされるように犯される。 「……龍一」 呼ばれ慣れていない名前。御剣が動くたびに、鎖が微かな音を立てて鳴る。 「…っ、あっ、…ん!」 嫌だ、嫌だ。恥ずかしい。 「…ふ…ッ…う、……っ…」 ぼくはうめく。よつばいにされたまま、首を拘束されたまま。 「!」 ぐい、と力強く鎖をひかれて顔が上がる。突然のことに息が詰まった。 「主人の言うことを聞くか…?」 その欲望をぼくに突き刺したまま、御剣は問いかけてきた。 「み、つるぎ……お願い…」 息も絶え絶えに、ぼくはそう一言だけ呟く。目を閉じると涙が落ちていく。 「よくできたな、龍一」 思い切り引き抜かれ、力が抜ける。 「……アァッ!」 御剣は思い切り、腰を押し出した。ぼくは両腕を回して、御剣の身体にしがみつく。 「……んぁ!あ!…や、…くっ!」 御剣の行為はさらに激しさを増し、ぼくは声を上げた。胸元で鎖が揺れる。 「み、みつるぎ…っ!御剣、…あッ…んぁッ!」 いつもと同じことをしているだけなのに。この首輪が何かを呼び起こす。 「龍一、龍一ッ……」 熱を帯びた御剣の声がぼくの名前を呼ぶ。その声を合図に、ぼくらは果てた。
すべての行為が終わった後、御剣はやっと謝罪の言葉を口にした。 「君が後ろからされるのをあんな嫌がるとは思わなかった」 御剣の口から出てきた二言目に、思いっきり脱力しながら言い返す。 「……少し寝かせてくれ」 三言目はそれかよ!と突っ込む間もなく、御剣はすやすやと寝息をたて始めた。 (───このままでいいのか?自分) 毎回毎回、奴に好き勝手されて泣かされてるのはぼくだ。 「あ」 仕返しに絶好な道具は、すぐそこにあった。
君にはお手ができるのかな?…怜侍。
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ミツナルのナルさんに標準装備(え?!)の首輪ネタでした。犬顔受けさんの宿命ですね。 なるほど犬は忠実です。何されてもご主人様が大好きなんですよ。 続編でもある御剣犬編はSUPERSONIC GENERATIONさまに置かせてもらってます。 ナルミツなんだかミツナルなんだか微妙なものになっておりますが(笑) |
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