______________________________________________________________________________

 

 

ピチャ、と濡れた音が響く。
押し付けられた先端を成歩堂は拙い様子で舐めていた。
割れている先に懸命に舌を這わせる姿は今まで見たこともないもの。
同じ男が、成歩堂が。……そして弁護士が、自分の足下に屈するその姿に快感を覚えた。
支配欲と性欲はよく似ているものだと、私は最近自覚した。
女性にされる時よりも数倍気持ちがいい。

「随分とうまくなったな、成歩堂弁護士」
「…ッ、ふざけるな!」

薄い笑いを浮かべて声を掛けた途端、成歩堂が噛み付くような勢いで怒鳴る。
口から逸らされた欲望が弾力を持って元に戻ろうとする。
再度口内に侵入しようとするそれを成歩堂は首を捻って強く拒んだ。
その髪に指を差し入れ、思い切り力を込めて顔の自由を奪った。そして私は腰を押し付ける。

「痛…ッ!」
「誰が休んでいいと言った?」

頬を滑り、熱の棒は再び成歩堂の口に咥えられた。
怒った様な表情を作りつつも成歩堂は必死に私のものをしゃぶる。
その両手は後ろ手にきつく縛られていて。膝立ちの格好のまま成歩堂は私の下半身に顔を埋めていた。
唇の端からは唾液が零れていて、薄っすらと髭の生えた顎に伝って汚していた。

「もういい」

短い制止の声に、成歩堂の顔が怯えたように歪む。私が膝を曲げ床に付くと顔を逸らして俯いた。
その顎を捕らえて無理に上を向かせると、私は瞳を正面から合わせてこう問い掛けた。

「どうしてほしいのだ?今日は」

成歩堂の目がびくりと震えた後、強い光を持って私を見返す。
怯えを奥に押し込めて睨み返す様は腹ただしくもあり、同時に憐れでもあった。
───私から逃れる事など、決してできないのに。

「あっ」

突然、足の間にあるものを握られて成歩堂が声を上げた。
意識が逸れたのを見計らい、両肩に手を乗せると体重を掛けた。
背中を床に押し付けられ、痛みに成歩堂が眉をしかめた。
肩にあった手のひらを膝裏へと運び、力を込めて押す。
成歩堂の身体は私の前にあっけなく開かされ、成歩堂は唇を噛んでその屈辱に耐えた。
私は彼の後ろに自分の欲望をあてがったまま動きを止めた。

「今から犯される気分はどうだ?」

意地悪く聞いてやると成歩堂は首を振って私から視線を離す。
また顎を掴み、無理にこちらを向けさせた。
怒りよりほとんど怯えに支配されたその瞳は、端に水滴を湛えながらも零れ落ちる事はしなかった。
泣きそうなのに何をしても泣かない彼の自尊心が急に憎らしくなった。

何をしても、屈さないと?
私に屈することは一生ないと言うのか、君は。

検事になった私がどれほど努力しても、弁護士という存在をを超えることはできないと?

───あっ!」

大きく腰を押し出した後、また動きを止める。
赤く充血した成歩堂のそこは難なく私のものを飲み込み咥え込んだ。
微かに笑みを浮かべ、前髪の隙間から成歩堂の様子を窺い見る。……しかし。
屈辱的な格好を取らされているのにも関わらず、成歩堂は強い瞳で私を見据えていた。

 

 

 

●   
・.

 

×閉じる