私と成歩堂の付き合いは、空白の時間が多い。

 愛撫もそこそこに、身体を下にずらした自分に思わず苦笑する。相手もそのことに気付き突っ込みを入れてくるかと思い、視線だけを持ち上げると潤んだ眼が私を待っていた。
 早く、と声にならない声を読み取った私は黒いベルトを緩めて青いズボンを引き下ろす。薄いグレーの下着の一ヵ所だけが濃い色に変化している。それを口で詰ることもせずに、腰回りのゴムを掴んで乱暴に脱がせた。硬く勃起したペニスが露わになり、成歩堂は羞恥心からか微かな吐息を漏らした。
 どれくらい会っていないか──数えることはもうすでにやめた。日数にしてしまえば、どれくらい触れていないのかにも気付いてしまう。そうすれば、誤魔化しようもないくらいに欲が抑えられなくなってしまう。
 しかし、こうして彼に触れることができる今。私は自分を抑えることなく成歩堂を事務所のソファに押し倒していた。早く繋がりたい。その一心で彼の足を抱え上げ、己の肩に掛ける。曝け出されたその場所に視線を感じたのだろう。成歩堂の瞳が一層潤みを増した。
 中央に唾液を集めた舌をそこに擦り付けた。そして、小さな穴に中指を添え、ゆっくりと差し込んでいく。う、と成歩堂が呻き仰け反った。もう何度私を受け入れたかわからないそこも、こうして時間が経てば硬く口を閉ざしてしまうのだ。その度に私はいつも心を注ぎ、彼の身体をゆっくりと開いていく。
 いつもならば時間を掛けて愛したい部分であるそこを、今夜ばかりは焦れた思いで舌を這わせる。
 女性のように自然に潤わないそこは、乱暴にすればたちまち傷ついてしまう。彼の負担にならないよう丹念に準備をすることは、抱く側の最低限のマナーだと考えていた。
 余裕もなく、今すぐに貫いてしまいたい衝動を何とか堪え、犬のように舐めまわす。亀頭と舌を擦り合わせ、左手の中に収めた袋を緩急つけて揉む。右手の指は中に差し込んだまま。私の舌や左手を動かすたびに、それに反応して右手の指が締められる。徐々に緩んではきたものの、この膨張したペニスを挿入するのはまだ早く感じた。
「ああッ」
 右手の親指と人差し指で上下に開き、覗いた内部に舌を伸ばすと成歩堂が派手に喘いだ。舌を這い回らせ潤わせていると、背中を預けるソファに爪を立てていた彼の手が私の後頭部に移動してきた。きつく、きつく握り締められる。驚いて見上げる。私を待っていたのは……
「いやだ、寂しい、早く」
 全てを曝け出した成歩堂の身体と、黒い瞳が私の心を奪う。
 濡れた指を引き、痛みを感じるほど成長しきったペニスをようやくそこに宛がう。埋もれていく感覚に、繋がるという実感に。痛みに顔を歪めながらも、もどかしげに私のジャケットを掴み先をねだる成歩堂に。
 ──もう、全てが。溶けてしまいそうだ。







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